メニュー

目がかすむのは疲れ目のせい?~「かすみ目」と糖尿病の危険な関係を内科医が解説~

[2026.06.11]

「最近、パソコンやスマートフォンの画面がかすんで見えにくい」「急に視力が落ちた気がするけれど、年齢のせいだろうか」といった目の不調を感じていませんか。多くの場合は「疲れ目」や「老眼」と考え、市販の目薬で様子を見たり、メガネの度数を合わせ直したりしがちです。

しかし、その頑固なかすみ目、実は「糖尿病」が引き起こしている重大なサインかもしれません。

糖尿病は初期段階での自覚症状がほとんどない病気ですが、進行すると体に様々な合併症をもたらします。その代表格が「目」の障害です。「見え方がおかしい」と眼科を受診した結果、根本的な原因が糖尿病であると判明し、当院の内科に紹介されてくる患者さんも少なくありません。

本記事では、なぜ糖尿病になると目がかすむのか、そのメカニズムと放置するリスク、そして早期発見のために知っておくべきポイントについて内科医の視点から詳しく解説します。

糖尿病で「かすみ目」が起こる2つの大きな原因

血液中の糖分(血糖値)が慢性的に高い状態が続くと、目のレンズの役割を果たす組織や、光を感知する神経の膜に深刻なダメージが及びます。かすみ目を引き起こす主な原因は、以下の2つです。

原因①:高血糖による一時的なレンズ(水晶体)のむくみ

健康診断の後や、急激に糖尿病が悪化したときなどに「急に目がかすむようになった」という場合、血糖値の急激な変化が原因の可能性があります。 血液中の糖分が過剰になると、目のレンズである「水晶体」の中にまで糖が入り込みます。すると、水晶体の中の浸透圧が変わり、周囲から水分を吸い込んで水晶体全体がむくんで(腫れて)しまうのです。レンズの厚みが変わることでピントが合わなくなり、目がかすんだり、急に近視が進んだように感じたりします。これは血糖値が適切にコントロールされるようになると、多くの場合元に戻ります。

原因②:糖尿病の三大合併症「糖尿病網膜症」の始まり

より深刻で警戒しなければならないのが、失明の原因にもなり得る「糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)」です。 目の奥には、カメラのフィルムに相当する「網膜」という神経の膜があり、ここには無数の細い血管(毛細血管)が張り巡らされています。高血糖が続くと、この微細な血管が少しずつダメージを受けて詰まったり、変形したりします。 血流が悪くなると、網膜は酸素不足を補うために「新生血管」という脆く壊れやすい新しい血管を急造します。この血管から成分が漏れ出して網膜の中心部(黄斑部)がむくんだり、血管が破れて眼の中で出血(硝子体出血)を起こしたりすることで、視界に霧がかかったような強い「かすみ目」や視力低下が引き起こされるのです。

「糖尿病網膜症」を放置する圧倒的なリスク

糖尿病網膜症の最も恐ろしい点は、初期から中期にかけての段階では、患者さん自身が自覚できる症状がほとんどないということです。

網膜の破壊がかなり進み、いよいよ失明の危機が迫って初めて「かすみ目」や「視力低下」、「視界に黒いゴミのようなものが飛ぶ(飛蚊症)」といった自覚症状が現れます。「少し目がかすむだけだから大丈夫」と放置している間に病気が進行し、ある日突然、大きな眼底出血を起こして急激に視力を失ってしまうケースもあります。

日本の成人の失明原因において、糖尿病網膜症は常に上位を占めています。目の症状が出たときには、すでに糖尿病そのものもかなり進行している状態と言わざるを得ません。

単なる疲れ目ではない「内科受診」を検討すべきサイン

目のかすみに加えて、以下のような症状や背景がある場合は、目の治療だけでなく、根本にある血糖値の検査を行うために速やかに内科を受診してください。

  • 目薬を差したり、目を休ませたりしても、かすみ目が一向に改善しない

  • ここ数ヶ月で、急激に見え方が悪くなった

  • 喉が異常に渇き、水分を飲む量が明らかに増えた

  • 尿の回数や量が増えた

  • しっかり食べているのに、なぜか急激に体重が減ってきた

  • 手足の先がピリピリ痺れたり、感覚が鈍かったりする

  • 健康診断で「血糖値が高い」「尿糖が出ている」と指摘されたことがあるが、放置している

すでに糖尿病の治療を受けている方はもちろんのこと、これまで健康診断をしばらく受けていない方や、「境界型(糖尿病予備軍)」と言われたことがある方は、特に注意が必要です。

まとめ

「治らないかすみ目」は、目が悲鳴を上げているだけでなく、全身の血管が高血糖のダメージを受けているという体からの警告かもしれません。

糖尿病による目の合併症を防ぎ、進行を食い止めるためには、眼科での局所的な治療と同時に、内科での徹底した「血糖値のコントロール」が不可欠です。食事の改善や運動、そして適切な薬物療法によって血糖値を正常な範囲に管理することで、目の微細な血管を守り、健康な視力を維持することができます。

当院の内科では、高血糖の早期発見や糖尿病の診断、一人ひとりに合わせた生活習慣病のマネジメントを行っております。「最近目がかすんで体調も優れない」「健診結果が心配」という方は、大切な視力を失うリスクを回避するためにも、どうぞお早めに当院へご相談ください。

HOME

ブログカレンダー

2026年7月
« 6月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME

AIチャットに質問