新型コロナウイルスに関する話(新宿グリーンタワー内科クリニック・呼吸器内科)blog
妊婦と新型コロナウイルスについて ~新宿グリーンタワー内科クリニック 呼吸器内科~
現時点においては妊婦と新型コロナウイルスについての医学的情報は限られたものしか報告されていません。
先日ランセット誌らに報告されたデータでは、18人の新型コロナウイルスに感染が確認された妊婦さん(確定診断に至らず疑い症例も含む)が出産した新生児には、いずれもコロナウイルス感染は確認されていません。一方で、感染していた母と濃厚接触があった新生児が17日目に感染が確認されたケースや、出産から36時間後に新生児への感染が確認されたケースもありました。SARSやMERSでも、胎盤を通しての感染リスクは低いと報告されており、新型コロナウイルスにおける新生児の感染の可能性は同様に低いと考えられます。
少ないデータから新型コロナウイルスと妊婦、胎児、あるいは新生児への影響を現時点で断言することはできませんが、型は違うものの同じコロナウイルスであるSARSやMERSの経験から言えば、妊婦さんの影響(呼吸困難による入院、集中治療、呼吸器の使用率の増加)や胎児への影響(子宮内発育不全、早産、自然流産、周産期死亡の増加)は懸念されるべきかと思います。
また、母乳を介してウイルスが感染するかは現時点で定かではありません。但し、授乳中に咳やくしゃみからの飛沫感染は起こりえるため、感染が明らかになった場合、あるいは症状的に感染が疑われる場合にも母子を別々にする必要性が米国産科婦人科学会でも提唱されています。
コロナウイルスはマスクで防御できるのか? ~新宿グリーンタワー内科クリニック 呼吸器内科~
ウイルスは細菌やカビなどと比較してとても小さな病原体です。コロナウイルスにしてもその大きさは、およそ10万分の1センチメートル前後と言われています。
一方でマスク(サージカルマスクであっても)は、コロナウイルスの50倍くらいの大きさまでしかブロックできません。単純にウイルス単体で飛んできた場合にはマスクでは全くブロックできません。
しかし、インフルエンザウイルスも含めて、せきやくしゃみで飛散する飛沫(しぶき)は、大抵はウイルスの周りに水分を含んでおり、飛沫全体の直径はマスクでブロックできるようになるというのが一応の定説です。但し、ウイルスごとの飛沫がどのくらいのサイズであるかは確認されておらず、せきやくしゃみを浴びても100%ブロックできているとは限りません。
それでもマスクをしているほうがブロックできている飛沫があることは確かですので付ける意味合いはあるかと思います。
インフルエンザワクチンはいつ接種すべきなのか? ~新宿グリーンタワー内科クリニック 呼吸器内科~
「インフルエンザワクチンはいつ接種すべきなのか」迷ったことはありませんか?
結論を初めに言いますと、「接種開始時期になったら早く接種した方がより効果的で意味があります」。
下のグラフは東京都の月別インフルエンザ患者者数ですが、毎年11月中旬くらいから感染が目立ち始めて12月中には1回目のピークを迎えます(1回目のアウトブレイク)。年末年始は学校や会社がお休みになるため、感染は一時的に下向きになることはあまり知られていませんがグラフを見るとそれがよくわかります。休み明けの1月上旬から2月中旬までは2回目のピーク(2回目のアウトブレイク)であり、年間で最大の感染リスクがある時期です。
ワクチンは接種してから十分な効果を発揮するまで2週間はかかり、効果は接種後4か月目でも約60~70%の有効率を保ちます。つまり10月下旬に接種すれば11月中旬から12月の第1期流行時期と1月から2月の第2期流行時期を十分にカバーできることになります。
北半球の先進国では日本と同じようなインフルエンザの流行時期を迎えるため、仕事や観光で冬の時期にアメリカを含む北米やヨーロッパに行かれる予定の方もインフルエンザワクチン接種は重要ですのでご留意ください。
最新の知見となるアメリカ疾病予防センターが8月に発表した報告書でも「11月までのワクチン接種」が推奨されています(Prevention and Control of Seasonal Influenza with Vaccines: Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices – United States, 2019-20 Influenza Season. MMWR Recomm Rep. 2019;68(3):1. Epub 2019 Aug 23)。
以上、インフルエンザワクチンの適切な接種時期について解説させていただきました。